さだまさし「修二会」の歌詞について全力で解説

さだまさしの名曲のひとつ、「修二会」の聖地巡礼に行きました。ちなみに「しゅにえ」と読みます。中学2年生の時に聴いてもタイトルの読みがわからず、恥ずかしい思いをした記憶があります。




    春寒の弥生 3月花まだ来


    修二会は3月1日から14日の2週間かけて行われます。修二会の文字通り、旧暦では2月にあたり、2月に修する法会という意味で修二会と呼ばれています。(修二会HP
    この修二会を見るために、時期を合わせて会社の休みを取り、奈良の東大寺に向かいました。

    東大寺-南大門
    南大門-仁王像1

    南大門-仁王像2

    君の肩にはらり 良弁椿


    良弁椿についてはwikiの説明が詳しかったため、下記引用します。

    二月堂下にある開山堂の椿は、赤い花に白い斑点が入り、練行衆が造花を作るとき
    に糊をこぼしたようだと「糊こぼし」、また開山の良弁僧正に因んで「良弁椿」と
    呼ばれ、「奈良三銘椿」の一つに数えられている。



    開山堂はどこにあるのかと現地で軽く回ってみましたが、そもそもどこにあるのかわかりませんでした、、、どうやら開山堂は12月16日じゃないと中に入れないようです。噂の良弁椿は見られず、残念です。(開山堂HP)

    ここは東大寺 足早にゆく人垣の

    東大寺-大仏殿
    参拝の時間のギリギリに向かったためか、それほど人垣はありませんでした。
    なんとか時間内に参拝しようと足早になったのは私たちでした笑

    誰となく独白く南無観世音 折から名残り雪


    南無とはサンスクリット語のナマスという言葉がインドから中国に渡る時に漢字に音写され、日本に南無として伝わりました。ナマスとは帰依するという意味で、自分の全てを捧げるという意味となります。あまり簡単に南無南無とは言えるものではないです。

    観世音菩薩(観音様)は十一面観世音とも呼ばれ、世界によって姿が変わると言われています。ここは日本固有の宗教観になりますが、人間界ではお地蔵様の姿をされており、地獄界では閻魔大王の姿をしております。お地蔵様と閻魔大王は同一人物(?)なのです。日本古来よりお地蔵様を敬うのは、もし自分が地獄に落ちた時に慈悲をもらうためです。

    「折から」という表現は「つゆのあとさき」でもありましたね。ちょうどその時という意味です。現地で名残り雪を必死で探しましたが、雪は残っていませんでした。

    東大寺-大仏

    東大寺-如意輪観音

    東大寺-大仏の裏

    君の手は 既に凍り尽くして居り その心 ゆらり他所にあり


    寒いから冷たくなっているのかもしれないですが、ここでは心が冷めてしまっているという表現ですね。人は心と体が同じ場所にある時が幸せで、心が別の場所にある時に不幸に感じるそうです。ハワイのビーチにいる時はとても幸せに感じますが、会社から連絡が来た時は一気に不幸に感じますよね。心ここに在らずとはよく言ったものです。

    この女性も今心身が乖離していて不幸を感じているのでしょう。

    もはや二月堂 天も焦げよと松明の

    修二会が始まる時はとても混雑すると聞いていましたので、修二会が始まる2時間前に現場にスタンバイです。なんとか二月堂の柵の中に入って待つことができました。

    東大寺-二月堂
    あとはひたすらさだまさしの修二会を聴いて始まるのを待つばかりですが、陽が落ちてきて、振り返ってみるとあっという間に多くの人が。場内アナウンスで入場制限しているそうで。早めに来た甲斐がありました。

    振り返ると多くの人だかり

    陽が落ちた時の二月堂

    炎見上げつつ何故君は泣く 雪のように火の粉が降る

    直前の歌詞の「天も焦げよと松明の」と「雪のように火の粉が降る」という表現はまさに現地でみないとわからないと感じました。想像以上に本物は激しく松明は燃えて、その松明の火の粉は舞うように身に降りかかるようでした。実際にさだまさしが現地で見て歌詞を書いたんだとわかります。

    修二会の始まり。松明を持った僧が階段を登ります。

    まさに天を焦がして雪のように火の粉が舞っています。

    走る火影 揺れる君の横顔 燃える燃える燃えるおたいまつ燃える ha, ha


    実際にこの僧と松明は走ります。本当に燃えに燃えるんです。


    過去帳に青衣の女人の名を聞けば


    過去帳とは亡くなった人の名を記したもので、3月5日と3月12日の夜にその人たちの冥福を祈るために読み上げられます。(過去帳について

    青衣の女人の話はリンク先で詳しく記されていたので下記引用します。

    鎌倉時代、承元年間(1207-1211)に修二会中、集慶(じゅうけい)という僧侶が過去帳を読み上げていたところ、その前に青い衣の女性が現れ、「何故わたしを読み落としたのか」と、恨めしげに問うたという。 集慶がとっさに低い声で「青衣(しょうえ)の女人」と読み上げると、その女人は幻のように消えていった。

    この日は3月3日でしたので、過去帳の読み上げには立ち会うことは叶いませんでした。
    大混雑が予想されるお水取りの3月12日にまた来てみたいです。

    僕の背に 君の香りゆらめく


    ちょっと怖い表現ですが、青衣の女人が消えたように、自分の隣にいた女性も消えていってしまったということでしょう。

    ここは女人結界 君は格子の外に居り


    お水取りの日ではないので、女人結界はどのように敷かれるのかわかりませんでしたが、
    二月堂の近くには格子がありましたが、これは違うかなーと思いながら勝手に想像を膨らませていました。

    息を殺して聴く南無観世音 こもりの僧の沓の音


    修二会の最中は何かしらのお経を唱えていることはわかるのですが、何を唱えているかはわかりませんでした。教養がもっとあればわかったのでしょうか。

    「こもりの僧の沓の音」とは、松尾芭蕉の俳句からの本歌取りです。

    "みず取りや こもりの僧の 沓の音" -芭蕉
    さらっと芭蕉の句も取りこめるのがさだまさしのすごいところですよね。

    ふり向けば 既に君の姿はなく 胸を打つ痛み 五体投地


    ついにこの女性は視界から消えてしまいましたね。
    修二会には外人のカップルも来ていて最初は盛り上がっていたのですが、変化に乏しい行事ですので、やがて飽きたのか途中で帰ってしまいました。

    さすがにこの外人のように飽きて帰ったわけではないのでしょう。
    この主人公は何故修二会に来たのでしょうか?

    修二会は、日頃の罪を懺悔する行事です。女性に愛想を尽かされているわけですから、何かしらをやらかしてしまったのでしょうか。また、修二会は1000年以上も途絶えずに続いている行事です。この長く続いている修二会のように、女性との関係も長く続いて欲しいという想いを込めて訪れたのでしょうか。諸行無常ですから、終わりは必ず来ます。世の中数多くの歴史が途絶えている中で1000年も続いているのは諸行無常に打ち勝つようで、縁起が良いのでしょう。

    五体投地とは仏教の最も丁寧な礼拝方法です。
    現地で五体投地の音を聴くのはタイミングを合わせることが必要みたいですので、
    事前に調べていくことをおすすめします。
    日程はこちらの六時の行法の項目から確認できます。

    もはやお水取り やがて始まる達蛇の 


    お水取りは見れなかったので、具体的なことは語れず、、、
    とても壮観みたいですので、ぜひ見てみたいですね。

    水を清めよ 火を焼き払えよ この罪この業


    業と書いてカルマと読みます。カルマもサンスクリット語で、人の行いを表します。自業自得の業はこのカルマの業です。一般的に自業自得は悪い行いは自分に還ってくるみたいに使われますが、カルマに良い悪いという意味はなく、ただ行いを表すだけですので、良い行いに対しても自業自得という言葉は使うことができます。

    具体的にこのカルマは何かというと、実は物質のようなものです。人は何かしらの行いをすると(呼吸でさえ!)魂にカルマ物質というものが付着します。魂というものは、なにもなければ浮上する力を持っており、魂だけならば浮上し続けて輪廻から外れます。しかし、人は生まれて行いを始めるとこのカルマ物質が魂に付着していき、やがて魂が重くなって浮上できなくなり地上に落ちてしまい輪廻することになってしまうのです。あくまでこれはジャイナ教の考え方ですが、五火説のような似た考えがあります。

    走る火影 ゆれるあふれる涙 燃える燃える燃える松明燃える ×2


    この涙は後悔の涙なのか、終わりを迎える無念の涙でしょうか。
    体験しないとわからないと思いますが、体験はしたくないですね笑

    以上、さだまさし「修二会」の聖地巡礼でした。
    今度は混雑がすごく予想される3月12日に行ってみたいですね。

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    コメント

    1. 開山堂は二月堂の舞台から良弁杉を見たときに、真正面にある塀の中にある建物ですよ。Googleマップの位置参照(写真は東大寺HPの方がただしいですよ)

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